外食業界の人手不足は、もはや一時的な問題ではなく、構造的な課題として定着しつつあります。実際、採用広告を出しても応募は限られ、既存スタッフの負担が積み重なる一方です。こうした中で、特定技能制度を活用し、外国人材を正社員として受け入れる飲食店が急速に増えています。
制度の仕組みや条件は広く知られるようになりましたが、実際の現場でどのように活用され、どのような成果や課題が生まれているのかとなると、まだ十分に共有されているとは言えません。
このブログでは、実際の飲食店・レストランでの特定技能外国人の活用事例を取り上げます。
大阪府で多店舗を展開する中華料理チェーンでは、特定技能外国人を受け入れるにあたり、あえて最初から繁忙店舗に配置せず、郊外店で育てる方針を取っているとのことです。
忙しすぎる店舗にいきなり特定技能外国人を入れてしまうと、本人も現場も余裕を失い、離職リスクが高まる。そこで、最初の半年を「基本業務と生活習慣の定着期間」と割り切り、段階的に成長を促す仕組みを整えたとのことです。
このケースから分かるのは、“どの店舗でどの順番で育てるか”を事前に設計することが、特定技能の成功に直結するという点と言えるでしょう。
全国規模の飲食チェーンでは、留学生アルバイトとして働いていた外国人材を、卒業と同時に特定技能へ切り替える流れが定着しています。現場を知っている、人物像がつかめている、教育の手間が少ないなどの事がそろうため、企業にとって極めて合理的な採用ルートと言えます。
この企業ではグループ内に登録支援機関を設立し、支援と育成を一体的に行う体制を構築しています。長期的には店長候補まで育てていく方針を明確にしているとのことです。
特定技能制度が「すでに育ったアルバイトを手放さないための仕組み」として活用されている典型例です。
観光地にある老舗旅館のレストランB社では、特定技能で働く外国人を「中核人材」として育てる戦略をとっています。
特定技能外国人として入社したAさんは、最初は食器洗浄や下準備が中心でしたが、段階的なスキルアッププログラムにより、接客、簡単な調理補助、外国語による案内など、業務範囲が広がっていっています。
生活面のサポートや行政手続きの同行、家電付き住宅の提供など、来日直後の不安を取り除く取り組みも徹底されています。公平な人事評価制度を導入したことで、努力が適切に評価され、現在はフロアマネージャー補佐として活躍しているとのことです。
複数の事例を比較すると、成功している飲食店にはいくつかの共通点があります。
どの店舗で育て、いつ業務の幅を広げるのかを事前に決めている企業ほど、離職率が低い傾向があります。
例えば「副店長→店長→2号取得」というように、将来像が見えるとモチベーションが上がります。
支援責任者・担当者の動きを最初に文書化し、現場にも共有しておくことで、支援を「やっているつもり」ではなく、見える化しています。
特に来日直後の生活支援は、定着と満足度に強く影響します。
飲食店は業務の幅が広い分、「特定技能として認められる業務範囲」を逸脱しがちな点に注意が必要です。調理・接客・店舗管理が中心であり、それ以外の業務を過度に求めると、制度違反と判断される恐れがあります。
また、自社支援で運用する場合は、支援内容の実施記録や報告体制を整えておくことが極めて重要です。現場任せになると、支援が途中から曖昧になり、最終的にトラブルにつながるケースも少なくありません。
飲食店にとって、特定技能外国人の採用は、単に人手を埋めるための制度ではありません。
育て方次第で、店舗運営の中心を担う存在にまで成長し、店の安定と発展に直接寄与する人材になります。
採用ルート・育成期間・支援体制・キャリア設計を最初にしっかり固めることが成功の近道です。
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