特定技能外国人の退職・転職について

特定技能外国人の退職・転職について

特定技能外国人は転職できる制度です。最新データを基に、離職率の実情、転職理由、企業側の注意点や定着のためのポイントを行政書士がわかりやすく説明します。

特定技能外国人はなぜ退職・転職するのか?離職率・理由・企業が知っておくべき現実

019年に始まった特定技能制度は、これまでの技能実習制度と大きく異なる点があります。それは、外国人本人の意思による転職が制度上認められているという点です。この仕組みは制度開始当初から特徴として挙げられていましたが、近年になって、その意味合いがより現実的なものとして企業側にも突き付けられています。

 

実際、特定技能外国人の離職や転職は、もはや例外的な出来事ではありません。2026年時点の統計や関連調査を総合すると、自己都合による離職率は累計で15%前後とされています。日本人の新卒社員の早期離職率と比べれば決して高い数値ではありませんが、技能実習生と比較すると高く、「転職できる在留資格」であることが行動に反映されているといえます。
転職をする特定技能外国人の多くは、同一分野内で条件の良い企業へと職場を移しています。たとえば「外食業」から「飲食料品製造業」などと、分野を変更する場合には新たに特定技能試験に合格する必要があるため、転職自体は自由であっても、決して無制限というわけではありません。この点は誤解されやすい部分ですが、制度上は一定の歯止めがかかっています。

 

では、なぜ特定技能外国人は転職を考えるのでしょうか。最も大きな理由として挙げられるのが、賃金や待遇への不満です。特に近年は円安の影響が大きく、日本で働いて得た収入を母国へ送金する外国人にとって、実質的な手取り額が重要になっています。基本給や残業の有無、各種手当の違いは、転職を検討する直接的な動機になりやすいのが実情です。
また、「日本人と同等以上の待遇」と書面上は記載されていても、昇給のスピードや評価の仕組み、福利厚生の差から、実際には不公平感を覚えるケースも少なくありません。

 

生活環境の問題もあります。地方の工場や農業分野で働いていた外国人が、同国人のコミュニティが多く、生活の利便性が高い東京や大阪、愛知などの都市部を志向する傾向は年々強まっています。仕事そのものよりも、日常生活のしやすさを重視する段階に入っている外国人材も増えているのが現状です。
それから、将来的なキャリア形成も重要な要素です。家族帯同が可能となり、在留の安定性が高まる特定技能2号への移行を目指す外国人は少なくありません。現在の勤務先に2号取得の実績や支援体制がない場合、より可能性の高い企業へ転職するという判断は、本人にとって合理的な選択といえます。

 

一方で、転職には現実的なハードルも存在します。特定技能外国人が転職する場合、在留資格に関する手続きが必要となり、許可が下りるまでの期間は原則として就労できません。アルバイトとして働くことも不可能です。審査期間はケースにもよりますが、1か月から数か月に及ぶこともあり、その間は無収入となるリスクを抱えることになります。新たな転職先で「特定技能」の在留資格を再度得るために、「特定活動」ビザに一旦切り替えるケースもありますが、この場合でも審査期間週の就労はできません。
また、短期間で転職を繰り返している場合には、入管から在留状況に問題があると判断され、更新や変更に影響が出る可能性あります。転職が認められている制度であっても、無制限に許されるわけではない点は、企業側も外国人本人も正しく理解しておく必要があります。

 

受入企業にとっても、特定技能外国人の転職はとても悩ましい問題です。書類作成や支援体制の整備が負担となり、採用に慎重になる企業があるのも事実です。しかし一方で、特定技能外国人は「選ばれる存在」から「選ぶ存在」へと確実に変化しています。
定着率を高めるためには、単に人手不足を埋める存在としてではなく、将来を見据えた雇用の姿勢が求められます。特定技能2号への道筋を含めたキャリアパスを示し、生活面での不安を軽減し、定期的な面談を通じて不満や悩みを早期に把握することが、結果として離職防止につながります。

 

特定技能制度は、企業にとっても外国人材にとっても「選択され続ける関係」を築けるかどうかが問われる段階に入っています。制度の本質を正しく理解し、表面的な条件だけでなく、働き続けたいと思われる環境づくりが、今後ますます重要になります。

 

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