在留資格「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる“技人国”)は、ざっくり言えば「学んだ知識やスキルを使う仕事」を前提にした就労資格です。設計、開発、企画、通訳、海外営業、施工管理など、就労できる職種はたくさんあります。
一方で、飲食店の調理やホール業務、建設現場での作業、工場ライン、倉庫での運搬や梱包、清掃のように、業務の中心がいわゆる“現場の作業”になってしまうと、入管から「許可された活動ではないのではないか」と見られやすくなります。技人国は、働ける範囲が広いようでいて、実は“主たる業務”の説明がとても大事な資格になります。
ここでのポイントは単純に「現場に行ったか」ではなく、勤務実態の中心が何であるかです。たとえば施工管理で現場に入ること自体は自然ですが、毎日ずっと資材運びや清掃をしているような姿になってしまうと、「現場作業員として雇っているのでは」と判断されるリスクが上がります。
まず多いのが、「通訳として現場に入れているが、手が空くと作業も手伝わせている」というケースです。企業側は善意でも、実態として作業時間が積み上がると“通訳”の説明が弱くなります。
次に「新人研修として現場を経験させる」パターン。研修そのものが絶対NGというわけではありませんが、入管は次の点を見ます。研修の期間が限定され、将来の本来業務(設計・管理・企画など)に合理的につながっているか。外国人だけ現場に張り付けていないか。研修計画として説明できる形になっているか。
研修のつもりが、いつの間にか「人手不足の穴埋め」になってしまうと、入管への説明が一気に苦しくなります。
入管が実態を知るきっかけは、意外と日常にあります。更新申請のときに職務内容説明と実態がズレていないか確認されたり、通報や内部告発で調査が入ったりすることがあります。
問題が大きくなると、企業側は不法就労助長罪の対象になり得ます。罰則は近年の枠組みで強化(5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金など)されており、企業としては「知らなかった」で済まない設計になっています。
本人側も、在留資格の更新で不利になったり、在留資格取消しの手続に進む可能性があります。
また、退去強制等になった場合の再上陸の扱い(上陸拒否期間)は、類型によって整理が分かれます。一般に「5年」で語られがちですが、法務省の説明では10年の類型も明示されています。
「現場での直接作業」を業務の中心にしたいなら、雇用する外国人の在留資格の設計自体を変える発想が必要です。典型は特定技能で、分野に沿った現場業務が制度設計上の前提になっています。
また、特定活動46号(本邦大学卒業者等)は、一定の要件のもとで現場対応を含む働き方が入り得ると言われます。ただし、何でも自由という意味ではなく、要件の軸(日本語での円滑な意思疎通を要する業務、学修内容の活用等)を外して「単純作業だけ」になる形は難しい、という整理が一般的です。
最後に、実務で一番効くのは「説明できる形を最初から作っておく」ことです。しかし、これはうその体裁を整えることは絶対にダメです。
雇用契約書・職務内容説明・配属計画が、実態とズレないように整えます。研修で現場に出すなら、期間・目的・研修内容・その後の本務(設計/管理/企画等)への接続が見える資料にします。通訳や調整役として現場に入るなら、通訳・調整が中心だと示せる業務記録の運用も有効です。
技人国は「ちゃんと設計すれば強い」一方で、現場の運用が崩れると一気にリスクが跳ね上がります。現場の人手不足を“運用で”埋める前に、在留資格の選択と職務設計から組み立て直すことをおすすめします。
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