特定技能外国人を雇用する企業から、「賞与や昇給は必ず支給しなければならないのか」という質問を受けることは少なくありません。最低賃金や基本給については理解していても、賞与や昇給の扱いになると判断に迷うケースが多いようです。
結論から言えば、特定技能制度における「日本人と同等以上の賃金」は、基本給だけを見て判断されるものではありません。企業に賞与や昇給の制度がある場合、その扱い方次第では、意図せず制度違反と評価されてしまう可能性があります。
まず理解しておくべきなのは、入管が見ているのは「実際に毎年必ず賞与を支給しているか」ではなく、賞与制度そのものが存在しているかどうかという点です。
就業規則や賃金規程に「業績に応じて賞与を支給することがある」、「年2回賞与を支給する」といった記載があり、日本人社員に対して支給実績がある場合、特定技能外国人だけを一律に賞与対象外とすることは原則として認められません。
実務上よく見られるのが、「外国人は契約社員だから賞与なし」、「在留資格が不安定だから支給しない」といった説明ですが、これらは国籍や在留資格を理由とした不合理な差別と判断される可能性が高いです。
ここで誤解されやすい点として、「日本人と同額の賞与を必ず支給しなければならないのか」という疑問があります。
この点については、必ずしも同額である必要はありません。
賞与が勤務成績や評価、勤続年数などに基づいて決まる制度であれば、特定技能外国人にも同じ評価基準を適用すれば足ります。結果として支給額に差が出ること自体は問題ではなく、重要なのは「評価の物差しが同じであるかどうか」です。
昇給についても、考え方は賞与と共通しています。日本人社員に対して定期昇給や評価に基づく昇給制度がある場合、特定技能外国人だけを昇給の対象外とすることは、合理的な理由がなければ問題となります。
一方で、「入社初年度は昇給対象外」、「一定期間の勤務実績を見てから昇給を判断する」といった運用を、日本人・外国人を問わず共通に行っているのであれば、不利な取り扱いとは評価されません。
実際の申請や更新手続きで問題になりやすいのは、制度と運用のズレです。就業規則や賃金規程上は日本人と同じ扱いになっていても、実態として一度も外国人に賞与や昇給をしていない場合、「形式だけ同等で、実質的には差別があるのではないか」と見られるリスクがあります。
また、「日本語能力が十分でないから」、「外国人だから最初は低く」といった曖昧な理由で昇給や賞与を除外することも、慎重な対応が必要です。
在留資格の申請や更新の際には、「報酬に関する説明書」や賃金規程を通じて、賞与・昇給の制度が日本人と同一であることを説明します。そのうえで、評価基準や支給判断の方法を具体的に示すことができれば、審査は比較的安定します。
特定技能制度における賃金の考え方は、「外国人だから特別扱いする」ためのものではなく、同じ職場で、同じ責任を担う労働者として、対等に評価しているかどうかが問われています。
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